マンションの大規模修繕工事

マンションの大規模修繕工事
目次

大規模修繕工事とは 何年ごとに実施する?

理事長

大規模修繕工事の時期、って言われたのだけど、
そもそも大規模修繕工事って何?何年ごとに実施するの?

大規模修繕工事とは、一定期間の経過ごとに行う外壁・防水・設備等の複合的な工事で、工事範囲が全体に及び、相当の費用と時間をかけて実施するものです。

一般的には足場を必要とする程度の工事をいい、これを必要としない程度の鉄部塗装工事などは大規模修繕工事とはいいません。
足場建設は工事費用の中で大きなウエイトを占めますので、足場を要する工事(外壁のタイルやシーリング補修など)や足場があった方がやりやすい工事(各戸のバルコニー防水など)をひとまとめに行います。

実施時期はマンションの劣化状況にもよりますが、国土交通省から示されている「長期修繕計画作成ガイドライン」では、修繕周期の例として、1回目を12年目~15年目、2回目を24年目~30年目としています。

大規模修繕工事足場の建設
足場建設の様子
管理会社

漏水など、特に緊急を要する不具合が無ければ、
築15年目の実施を目標に検討を進めてみよう!
以後、同じスパンで2回目・3回目の実施を検討するよ。

大規模修繕工事の進め方① 業者の選定方針を決める

理事長

大規模修繕工事の業者はどうやって選ぶの?
管理会社にお任せしたらダメなの?

管理会社

管理会社にお任せすれば、管理組合の手間は省けるよ。
日頃の管理を行っているので、トラブルがあった場合でも対応を請求しやすく安心感もある。ただ、その分費用は割高になるよ。

副理事長

理事長、修繕積立金がもったいないので、
管理組合で業者を探しましょう!

理事長

探すといってもどこが信頼できる業者かわからないわ。
どこから検討を進めたらいいのか・・。

大規模修繕工事には、大きく分けて次の3つの業務があります。
①改修設計 ②改修工事 ③工事監理
設計は「図面を描くこと」ではなく、「工事の内容を決めること」です。

工事の発注方式は、設計事務所などのコンサルタントを起用し、施工と設計・監理業務を分離して行う「設計監理方式」と、①~③を一括して施工会社に依頼する「責任施工方式」があります。

方式改修設計改修工事工事監理
責任施工方式施工会社
設計監理方式コンサルタント
(設計事務所等)
施工会社コンサルタント

責任施工方式のメリット

業者に見積もりを取得し、発注する方法です。
設計監理方式と比較し、工事業者に支払う以外の余計な出費がありません。
また、一社にすべて業務を任せるため、責任の所存が明らかになります。

設計監理方式のメリット

業者の見積もりが適切かどうか、工事実施中には適切な資材・工法で実施がなされているか、専門家からのアドバイスをもらいながら進めていく方法です。
コンサルタントにて作成された作成された共通仕様書をもとに各社の見積書を提出してもらえるため、比較がしやすく、業者選定の際も安心感があり、手抜き工事・品質低下の抑止が期待できます。

工事後にトラブルが発生した場合、コンサルタント会社は助言・支援はしてくれるけど責任は取ってくれないよ。合意形成が難しい管理組合であれば、設計監理方式の方が公平性をアピールできて良いけれど、合意形成が得られやすい管理組合であれば、みんなで信頼できる施工会社を探して責任施工方式で実施すればいいと思うよ!

副理事長

コンサルタントに依頼すると300万くらい費用がかかるようです。
われわれ管理組合で信頼できる業者を探しましょう!
資本金や決算資料、過去の大規模修繕工事実績を見て、安心できるところに見積もりを依頼するってどうですか?

理事長

いいわね!わたしたちと同じような規模のマンションで大規模修繕工事実績が多ければ安心できるわ。

大規模修繕工事の進め方② 修繕委員会の設置

理事長

大規模修繕工事に向けて、委員会を設置した方がいいのかしら?

大規模修繕工事に向けての検討は、複数年度に渡りますが、年度ごとにメンバーが交代してしまう理事会では、継続的な審議ができません。
また、専門的な知識が求められる事項も多く、設計事務所や施行会社等との接触も多くなりますので、通常の理事会業務と並行して行うことは大きな負担となります。

そこで、理事会とは別に、専門委員会として「修繕委員会」の設置が望まれます。
但し、理事会のメンバーが継続して審議できるのであれば、別途委員会を設けずに、大規模修繕工事について検討できるメンバーが役員に就任すれば問題無いでしょう。

大規模修繕工事について話し合う人々

標準管理規約では
標準管理規約では、専門委員会について次のように定めています。

第55条(専門委員会の設置)
理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
2 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。

第55条関係コメント

  1. 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
  2. 専門委員会は検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門知識を有する者(組合員以外を含む。)の参加を求めることもできる。

第55条2項で「調査又は検討した結果を具申する」とありますが、すなわち専門委員会は理事会の諮問機関となります。あくまでも決定権限は理事会にあり、委員会は理事会の下部組織となります。

副理事長

戸数が多いマンションでは設置が必要かもしれませんね。
我々は50戸程度のマンションですし、理事会で審議していきましょう。

理事長

そうね、ではサクサク進めていきましょう。

大規模修繕工事の進め方③ 見積もりを取得

理事長

ではさっそく見積もりを取得しましょう。
いくつか取得して相見積もりをしなくちゃね。
どこに依頼をすればよいかしら?

設計管理方式を選択した管理組合では、コンサルタント会社と相談しながら進めていけばよいでしょう。
責任施工方式を選択した管理組合で、管理会社への依頼する以外の場合は、自分たちで見積もりを取得します。

見積もり取得方法
  • WEBで検索する(キーワード「地域名」「大規模修繕工事」「見積もり」)
  • 近隣の同程度のマンションで大規模修繕工事実施済であれば実施業者を紹介してもらう。
  • 区分所有者が所有する他マンションで大規模修繕工事実施済であれば実施業者を紹介してもらう。

見積もりの取得方法には大きく分けて2つのアプローチがあり、それぞれにメリットと注意点があります。管理組合の体制やかけられる手間に合わせて選ぶのがおすすめです。

① 各業者の「独自提案」ベースで取得する場合

業者それぞれから独自の仕様で提案を出してもらう方法です。

  • メリット: 各社の強みや、思いもよらなかったノウハウが詰まった提案を受けられます。
  • 注意点:仕様がバラバラになるため、比較検討が難しくなります。この場合は、役員で手間をかけて「比較表」を作成するか、比較検討のパートだけをコンサルタントなどの専門家に依頼するとスムーズです。

コンサルタントは「大規模修繕工事」「相談窓口」で検索してみて!

② 「共通仕様」を作って横展開する場合

1社の仕様をベースに、他社にも同じ条件で競わせる方法です。

  • メリット: 条件が揃うため、金額や対応力の違いがひと目で分かります。
  • 手順: まず第1候補(本命)の業者から見積もりを取得します。その見積もりから「金額」だけを抜いて仕様だけを残したものをベースとし、他社に「同内容」での見積もり作成を依頼します。

ベースにした1社の見積もりの仕様がベストとは限らないのでは?

いい質問だ!他社には「ベース仕様での見積もり」と同時に、「御社独自のおすすめ提案」もあわせて依頼しておき、次のヒアリングで確認しよう!

大規模修繕工事の保証期間

合い見積もりでは、見積もり金額のほか保証期間・アフター点検期間も重要です。合わせて提出してもらい、確認しましょう。

大規模修繕工事 保証期間・アフター点検期間 例

屋上防水工事(漏水)10年
躯体改修工事(補修個所の再発)5年
バルコニー防水工事(防水)3年
廊下・階段床工事(長尺塩ビシート仕上げ)3年
外壁塗装工事(塗膜の変退色・著しい剥離)3年
シーリング工事(漏水)3年
鉄部塗装工事(塗膜の変退色・著しい剥離や錆)1年
天井・内壁面塗装工事(塗膜の変退色・著しい剥離)1年

アフター点検 1・3・5・10年目に実施

N社例

R階屋上床、ELVシャフト天端アスファルト防水工事面からの漏水及び剥離、著しい膨れ
(トップコートの剥離、著しい変色は1年)
10年
屋上笠木、設備架台ウレタン樹脂塗膜防水工事面からの漏水及び剥離、著しい膨れ
(トップコートの剥離、著しい変色は1年)
10年
バルコニー・室外機置場床、外部階段庇天端、北面梁天端、北面窓回り壁天端
ウレタン樹脂塗膜防水工事面からの漏水及び剥離、著しい膨れ
(トップコートの剥離、著しい変色は1年)
5年
外部階段床防滑性塩化ビニルシート防水工事面からの漏水及び剥がれ、膨れ3年
外部階段幅木、ササラ幅木ウレタン樹脂塗膜防水工事面からの漏水及び剥離、著しい膨れ
(トップコートの剥離、著しい変色は1年)
3年
躯体補修工事(ひび割れ、鉄筋露出、欠損、浮き)箇所の再発生5年
外壁タイル補修工事個所のタイル及び目地の剥離(漏水については除く)3年
シーリング工事面からの漏水及び著しい変色5年
外部塗装工事塗膜面の著しい剥離及び著しい変色
(上裏、天井等塗装塗膜面の著しい剥離、著しい変色については3年)
5年
内部塗装工事塗膜面の著しい剥離、著しい変色3年
鉄部塗装工事塗装面の著しい発錆、著しい塗膜剥離、著しい変色1年
内部廊下床改修工事仕上げ面の剥離、著しい変色3年
ELV扉•三方枠化粧シート貼仕上げ面の剥離、著しい変色1年

アフター点検 1・3・5・10年目に実施

大規模修繕工事の進め方④ ヒアリング

相見積もりの結果、3社に絞ったわ。
さて次はどうすれば・・?

相見積もりを取得し、見積書の内容や企業情報から候補を3〜4社に絞り込んだら、次はいよいよ直接話を聞く「ヒアリング(プレゼン会)」のステージへと進みます。

1. 各社30〜40分の「プレゼンテーション&質疑応答」

書類だけでは見えてこない、各社の「提案力」や「居住者への配慮」を直接見極めるため、1社ずつ対面(またはオンライン)での時間を設けます。

2. 最終審議

全社のヒアリングが終了したのち、業者には退室してもらい、管理組合(理事会・修繕委員会)メンバーのみのクローズドな場で話し合いを行い、最終候補(内定業者)を決定します。

ヒアリングには、実際に現場に常駐する予定の現場代理人(現場監督)」も同席してもらい、人柄と経験をチェックしよう。

理事長

よかった!信頼できる業者が見つかったわね!

副理事長

理事長!お疲れ様です!

理事長

最後のひと仕事を終えて安心したわ。
わたしは来月マンションを売却するの。
次期は理事長でよろしくね!

副理事長

ええええ~!!!

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