2025年(令和7年)の改正で建替え等がやりやすくなりました
悩める組合員2026年ナウ。わしらのマンションはもうボロボロじゃ。これからどうしたらええのか、少し勉強しておこうかのう。まずは区分所有法じゃ。
区分所有法は2025年(令和7年)に改正されました。
改正区分所有法では、区分所有建物や団地内建物が滅失した場合の管理・再生の規定が整備され、滅失の日から起算して5年を経過する日までの間は、各種の行為をすることができるとされました。
また、大規模一部滅失の有無に関わらずいろんな決議ができるようになりました。
| 改正前 | 区分所有法 |
|---|---|
| 全部滅失 | 規律なし |
| 大規模一部滅失 | ●復旧決議(区分所有者及び議決権の各3/4) ●敷地の管理・区分所有建物の再生(建替え決議のみ)につき、大規模一部滅失をしていない場合と同じ |
| 改正後 | 区分所有法 |
| 全部滅失 | 〇敷地の管理・区分所有建物の再生につき、集会の解散、規約の定め、管理者の設置を可能に 〇共有物分割を制限 〇集会の招集通知の特例 〇期間5年 |
| 大規模一部滅失 | 〇復旧決議(出席区分所有者及びその議決権の2/3) 〇敷地の管理・区分所有建物の再生につき、大規模一部滅失をしていない場合と同じ。 |



区分所有法と合わせて、建替え関連の法律も変わったらしいな。
改正前のマンション建替円滑化法では、主な規定として、以下の2つが設けられていました。
- 都道府県知事等により認可を受けたマンション建替組合等によるマンション建替事業に関する規定
- 都道府県知事等により認可を受けたマンション敷地売却組合による、除却する必要がある旨の認定(要除却認定)を受けたマンションを対象としたマンション敷地売却事業に関する規定
①については、区分所有法に基づく建替え決議等が成立したマンションの建替えが円滑にできるよう、マンション建替組合への法人格の付与、権利変換手続きによる関係権利の変換等の建替え実施過程における特別の法律関係(特別の権利・義務関係)を構成することができるように設けられたものです。
②については、区分所有法には位置付けのなかった建物と敷地の一括売却について、耐震性不足等の除却の必要があるマンションについて、売却後に除却をすることを前提に、多数決によるマンション敷地売却決議を認め、その後の売却を円滑に推進することができるよう、マンション等売却組合への法人格の付与、分配金取得手続きによる関係権利の消滅等の売却実施過程
における特別の法律関係(特別の権利・義務関係)を構成することができるように設けられたものです。
改正前のマンション建替円滑化法においては、事業手続の対象になっていたのは、区分所有法に基づく建替え決議とマンション建替円滑化法に基づくマンション敷地売却決議のみ。
これに対し、改正後のマンション再生円滑化法では、改正区分所有法で導入された各種決議について、決議が成立したマンションの再生等を円滑に進めるため、各種決議の全てに対応した事業手続が整備されました。
具体的には、区分所有法に基づく決議を3つに分類した上で、それぞれの事業手続が、マンション再生事業・マンション等売却事業・マンション除却事業として、整備されました。





こんなに選択肢があるんか~ど・れ・に・し・よ・う・か・な?
損傷した時(軽傷)
修繕する
共用部分が損傷した場合の修繕に関しては区分所有法第18条(共用部分の管理)により普通決議で、または17条(共用部分の変更)により特別決議を経て進めることになります。
建替え・建物更新・建物敷地売却・建物取り壊し敷地売却・取り壊しをする
損傷が軽微であったときでも、建物の築年数が相当程度経過しているような場合は「お金をかけて修繕するよりは、建替え等によってマンションを再生しよう」という判断をすることも考えられます。
マンションを再生等するための手法として区分所有法では、次表に掲げる5つの選択肢が定められており、いずれの決議を行った場合でも、マンション再生円滑化法に基づき、事業組合を設立して事業を進めることが可能です。
| 条文 | 概要 | 関連事業 | 事業主体 | |
|---|---|---|---|---|
| ①建替え | 区法62 | 建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たに建物を建築する | マンション建替え事業 | マンション再生組合 |
| ②建物更新 | 区法64-5 | 建物の構造上主要な部分の効用の維持又は回復(通常有すべき効用の確保を含む。)のために共用部分の形状の変更をし、かつ、これに伴い全ての専有部分の形状、面積又は位置関係の変更をする | マンション更新事業 | マンション再生組合 |
| ③建物敷地売却 | 区法64-6 | 建物及びその敷地(これに関する権利を含む)を売却する | マンション敷地売却事業 | マンション等売却組合 |
| ④建物取り壊し敷地売却 | 区法64-7 | 建物を取り壊し、かつ、建物の敷地(これに関する権利を含む)を売却する | マンション除却敷地売却事業 | マンション等売却組合 |
| ⑤取壊し | 区法64-8 | 建物を取り壊す | マンション除却事業 | マンション除却組合 |



ふむふむ、②~⑤が2025年(令和7年)の改正で加わったんじゃな。
①・②・⑤は区分所有者及び議決権の各4/5以上の多数決が必要です。
③・④は区分所有者、議決権及び当該敷地利用権の持分価格の4/5以上の多数決が必要となります。
尚、耐震性不足等の一定の客観的事由に該当する場合には、これらの多数決割合が「4/5」から「3/4」に緩和されます。
- 耐震性の不足
- 火災に対する安全性の不足
- 外壁等の剥落により周辺に危害を生ずるおそれ
- 給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
- バリアフリー基準への不適合
小規模一部滅失の時(やや重症)
復旧する
建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項、第六十四条の五第一項、第六十四条の六第一項、第六十四条の七第一項、第六十四条の八第一項、第七十条第一項、第七十一条第一項又は第八十四条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
3 第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
5~15 略
建物の価格の1/2以下相当が滅失した場合を小規模一部滅失と呼びます。
小規模一部滅失の場合、専有部を復旧(元の状態に戻す)できることは当然ですが、エントランスや廊下など、共用部分を復旧することは、3項→復旧決議、次条第1項→建替え決議、新しくできた第64条の5~8、第70条→団地の一括建替え、第71条→団地内敷地売却、第84条→団地内の建物が滅失した場合における一括建替え等決議までに限ってできる。
そして費用の償還を請求できます。
「復旧」は普通決議によって行います。変更を伴う場合は区分法17条として特別決議が必要な場合も想定されます。
小規模一部滅失における滅失した共用部分の「復旧+変更」を行うことは、2025年(令和7年)改正で追加された多数決要件の緩和事由に該当すると考えられ、4/5から2/3に緩和された多数決要件で決議することが可能となります(区分法第17条5項)。
建替え・建物更新・建物敷地売却・建物取り壊し敷地売却・取り壊しをする
損傷した時(軽傷)と同じです。
大規模一部滅失の時(重症)
復旧する
5 第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各三分の二以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
6 前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。



2025年(令和7年)改正前は復旧したくても総区分所有者・総議決権の3/4だったんじゃな。ハードルが下がってよかったのう。
復旧非賛成者による買い取り請求
復旧に反対した区分所有者も、区分所有者である限りは決議に従わなければならなくなるため、賛成者側に買い取りを請求することができます。買い取った賛成者は自分で支払いが厳しければ、持分割合に応じて、他の賛成者にも再買い取りを請求することができます(区分法第61⑦ ※形成権)
買取指定者の指定
決議から2週間以内に、非賛成者に買取指定者を指定することができます(区分法第61-⑧~⑩)。
買取指定者は区分所有者以外でも良く、デベロッパー等の不動産事業者が想定されます。2週間以内という短い期間で行う必要があるため、事前の準備をしておくことが不可欠となります。
買取指定者等による催告
集会招集者(買取指定者が指定されているときはその買取指定者)は決議賛成者以外の区分所有者に対して、買い取り請求をするか否かについて催告をすることができます(区分法61⑪)。
催告は4月以上の期間を設ける必要がありますが、この期間を経過したときは買い取り請求をすることができなくなります(区分法61⑬)。
復旧・建替え等の決議がない場合の買い取り請求
大規模一部滅失しているのに、何も決議されずそのままの状態でいる場合、建物の一部滅失した日から6月以内に何も決議が無いときは、各区分所有者は他の区分所有者に対して、次回で買い取るべきことを請求することができる(区分法61⑭※形成権)



形成権は契約と違って合意が無くても意思表示が到達したら効力を発揮するんじゃろ?急に買い取れって言われたら怖くないじゃろか?疑問じゃのう。
建替え・建物更新・建物敷地売却・建物取り壊し敷地売却・取り壊しをする
損傷した時(軽傷)と同じです。
全部滅失の場合(かなり重症)
区分所有建物が滅失した場合には、区分所有権が消滅するため、区分所有法の規定が適用されなくなってしまいます。
そこで、区分所有法では、区分所有建物が滅失した場合において、敷地共有者(区分所有者であった者)等による敷地や附属施設の管理を円滑にするため、敷地共有者等の集会により、意思決定等をするための仕組みが2025年(令和7年)の改正で定められました。敷地共有者等集会においては、滅失した区分所有建物に係る再建決議や敷地売却決議をすることができます。
敷地共有者との集会
改正区分所有法では、区分所有建物が滅失した場合において、敷地共有者(区分所有者であった者)等による敷地や附属施設の管理を円滑にするための措置が設けられています。
具体的には、以下の場合に、敷地共有持分等権利を有する者はその滅失の日から起算して5年を経過する日までの間は、敷地共有者等集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができることとされています(区法72)。
- 当該区分所有建物に係る敷地利用権が数人で有する所有権等であったとき
- 当該区分所有建物の附属施設につき数人が共有持分を有していたとき
敷地共有者等集会においては、再建決議(区法75)や敷地売却決議(区法76)をすることができるほか、敷地等の管理に関する決議や規約の設定等の決議をすることができます。
敷地共有者等集会の手続は、滅失前の区分所有者の集会の手続(区法34~46)の規定のほとんどを準用しています(区法73)。
区分所有建物が全部滅失した場合には、一般に区分所有者は当該区分所有建物から去っていると考えられ、上記の通知がないときは、建物内の見やすい場所に掲示すること(区法35④)ができません。
そこで、集会招集者が敷地共有者等の「所在を知ることができないとき」は、滅失した区分所有建物の敷地内の見やすい場所に掲示することをもって通知に代えることができるとされています(区法74①)。
通知をした結果(又は所在を知ることができなかった結果)、集会に欠席した敷地共有者等は、再建決議や敷地売却決議においては、非賛成者として取り扱われることになります。また、決議が成立した場合でも、催告や売渡し請求を行う際には、相手方を特定することが必要になります。
再建



再建とは、区分所有建物が滅失したあと、建物があった敷地に新たな建物を建築することをいうんじゃ。
再建決決議に関する手続き
再建決議までの手続きは以下の通りです。


再建決議から再建合意までの流れは以下の通りです。


マンション再生組合によるマンション再生事業
マンション再生円滑化法では、都道府県知事等の認可により設立されるマンション再生組合がマンション再建事業を進めていくための事業手続が整備されています。
マンション再生組合は、マンション建替事業、マンション更新事業、マンション再建事業又はマンション一括建替等事業(これらを総称して「マンション再生事業」という。)を実施することができます(再法5①)。
マンション再建事業とは、滅失した建物がマンションであり、かつ、新たに建築する建物もマンションであることが必要になります。
マンション再生円滑化法(組合実施)に基づくマンション再建事業は以下のような4つの段階に区分することができます。











