マンション標準管理規約1(全般関係~)


コメント【全般関係】

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  1. マンションが重要な居住形態となっている中で、マンションの快適な居住環境を確保するため、区分所有者は、具体的な住まい方のルールを定めておくことが重要であるとともに、社会的には、マンションを社会的資産として、その資産価値を保全することが要請されている。
    このような状況の中で、管理組合はマンションを適正に管理するよう努め、国は情報提供等の措置を講ずるよう努めなければならない旨の適正化法の規定を踏まえ、国は、管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考として、このマンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメントを作成し、その周知を図るものである。
  2. この標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用の単棟型マンションで、各住戸の床面積等が、均質のものもバリエーションのあるものも含めている。
    いわゆる等価交換により特定の者が多数の住戸を区分所有する場合、一部共用部分が存在する場合、管理組合を法人とする場合等は別途考慮するものとする。
    なお、店舗併用等の複合型マンション及び数棟のマンションが所在する団地型マンションについては、それぞれについて標準管理規約を示しているので、それらを参考とするものとする。
  3. 近年、マンションの高経年化の進行等による管理の困難化やマンションの高層化・大規模化等による管理の高度化・複雑化が進んでおり、これらの課題への対応の一つとして、外部の専門家の活用が考えられる。以前から、管理組合がマンション管理士等の専門家に対し、相談、助言、指導その他の援助を求めることについては規定してきたが(第34条参照)、さらに進んで、外部の専門家が直接管理組合の運営に携わることも想定する必要がある。このような外部の専門家には、管理の執行を担うという点から、特に、管理規約、管理の委託、修繕、建替え等に関する広範な知識が必要とされ、例えば、第33条及び第34条関係②に挙げるような者が外部の専門家として想定される。
     この標準管理規約は、理事会を中心とした管理組合の運営を想定したものであり、第35条第2項において組合員要件を外した場合には、(1)理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型による外部の専門家の活用を可能とするように規定を整備している。
     なお、(2)、(3)を採用しようとする場合における規定の整備の考え方については別添1に示すとおりである。
  4. この標準管理規約で示している事項については、マンションの規模、居住形態等それぞれのマンションの個別の事情を考慮して、必要に応じて、合理的に修正し活用することが望ましい。
     なお、別に定められる公正証書による規約と一覧性をもたせることが望ましい。

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第1条関係【目的】

マンション標準管理規約
この規約は、〇〇マンションの管理又は使用に関する事項等を定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。

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第2条関係【定義】

マンション標準管理規約
この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
  1. 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項の区分所有権をいう。
  2. 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
  3. 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
  4. 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
  5. 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。
  6. 敷地 区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。
  7. 共用部分等 共用部分及び附属施設をいう。
  8. 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。
  9. 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。
  10. 電磁的方法 電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に定めるものをいう。
  1. 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する 方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
  2. 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに 情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法
  1. 十一 WEB 会議システム等 電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システ ム等をいう。
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第2条関係
  1. 電磁的方法の具体例には、電子メールの送信やウェブサイト(ホームページ)への書込みの利用、CD-R 等の交付による方法等がある。
  2. 電磁的方法の一部のみ利用可能な管理組合は、電磁的方法の利用状況に応じた規約を制定することが望ましい。例えば、電子メールの送受信やウェブサイト(ホームページ)への書込みは利用できないが、CD-R 等に記録されている内容の読込み及び表示は可能な場合、第十号においてイは規定しないことが望ましい。

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第3条関係【規約及び総会の決議の遵守義務】

マンション標準管理規約
区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。
  1. 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させなければならない。
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第4条関係【対象物件の範囲】

マンション標準管理規約
この規約の対象となる物件の範囲は、別表第1に記載された敷地、建物及び附属施設(以下「対象物件」という。)とする。 マンション標準管理規約TOPに戻る

第5条関係【規約及び総会の決議の効力】

マンション標準管理規約
この規約及び総会の決議は、区分所有者の包括承継人及び特定承継人に対してもその効力を有する。
2 占有者は、対象物件の使用方法につき、区分所有者がこの規約及び総会の
  決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

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・包括承継人は相続、特定承継は売買及び交換等の場合をいう。
 賃借人は占有者にあたる。
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第6条関係【管理組合】

マンション標準管理規約
区分所有者は、区分所有法第3条に定める建物並びにその敷地及び 附属施設の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達するため、区分所有者全員をもって〇〇マンション管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。
  1. 管理組合は事務所を〇〇内に置く。
  2. 管理組合の業務、組織等については、第6章に定めるところによる。

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 管理組合は、「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」 (区分所有法第3条)であって、マンションの管理をより円滑に実施し、もって区分所有者の共同の利益の増進と良好な住環境の確保を図るため構成するものであり、区分所有者全員が加入するものである。区分所有法によれば、区分所有者の数が2名以上の管理組合は法人になることができるが、この規約では管理組合を法人とはしていない。したがって、ここにいう管理組合は権利能力無き社団である。
 管理組合は、区分所有者全員の強制加入の団体であって、脱退の自由がないことに伴い、任意加入の団体と異なり、区分所有者は全て管理組合の意思決定に服する義務を負うこととなることから、管理組合の業務は、区分所有法第3条の目的の範囲内に限定される。ただし、建物等の物理的な管理自体ではなくても、それに附随し又は附帯する事項は管理組合の目的の範囲内である。各専有部分の使用に関する事項でも、区分所有者の共同利益に関する事項は目的に含まれる。その意味で、区分所有法第3条の「管理」概念は、専有部分の使用方法の規制、多数決による建替え決議など、団体的意思決定に服すべき事項も広く包摂するといえる。なお、管理組合内部における意思決定や業務執行についての統制も、法と規約に基づき行われることが要請されていることに留意する必要がある。
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第7条関係【専有部分の範囲】

マンション標準管理規約
対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
 一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
 二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
 三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分
  以外のものは、専有部分とする。

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  1. 専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは「倉庫番号を付した倉庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。また、すべての住戸に倉庫又は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用契約により使用することができる。
  2. 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を共用部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負担関係と連動するものではない。
    利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成する部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部については構造的変更を禁止する趣旨である。
  3. 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、この境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにしたものである。
  4. 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第3号に追加する。
    (第3項関係)
  5. 「専有部分の専有に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。

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第8条関係【共用部分の範囲】

マンション標準管理規約
対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。

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第9条関係【共有】

マンション標準管理規約
対象物件のうち敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。

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第10条関係【共有持分】

マンション標準管理規約
各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げる通りとする。
  別表第3
標準管理規約第10条関係
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  1. 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。
    ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。 登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
  2. 敷地及び附属施設の共用持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。
    なお、共用持分は規約で定まるものである。
  3. なお、第46条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。

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