マンション標準管理規約6(第51条~)


第51条関係【理事会】

標準規約
理事会は、理事をもって構成する。
  1. 理事会は、次に掲げる職務を行う。
  1. 規約若しくは使用細則等又は総会の決議により理事会の権限として定められた管理組合の業務執行の決定
  2. 理事の職務の執行の監督
  3. 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任
  1. 理事会の議長は、理事長が務める。
コメント
  1. 管理組合の業務執行の決定だけでなく、業務執行の監視・監督機関としての機能を理事会が有することを明確化するとともに、第35条第3項の規定に基づく理事長等の選任及び解任を含め、理事会の職務について明示した。
  2. 理事の互選により選任された理事長、副理事長及び会計担当理事については、本項に基づき、理事の過半数の一致によりその職を解くことができる。ただし、その理事としての地位については、第35条第2項及び第48条第二号に基づき、総会の決議を経なければその職を解くことができない。
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第52条関係【招集】

標準規約
理事会は、理事長が招集する。
  1. 理事が○分の1以上の理事の同意を得て理事会の招集を請求した場合には、理事長は速やかに理事会を招集しなければならない。
  2. 前項の規定による請求があった日から○日以内に、その請求があった日から○日以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、その請求をした理事は、理事会を招集することができる。
  3. 理事会の招集手続きについては、第43条(建替え決議又はマンション敷地売却決議を会議の目的とする場合の第1項及び第4項から第8項までを除く。)の規定を準用する。この場合において、同条中「組合員」とあるのは「理事及び監事」と、同条第9項中「理事会の承認」とあるのは「理事及び監事の全員の同意」と読み替えるものとする。ただし、理事会において別段の定めをすることができる。
コメント
各理事は、理事会の開催が必要であると考える場合には、理事長に対し、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を促すこともできる。ただし、理事長が招集しない場合には、第2項の手続により招集を請求することとなる。それでも理事長が招集の通知を発出しない場合には、招集を請求した理事が、理事会を招集できることとなる。
なお、第4項で理事会の招集手続につき第43条を準用しているが、WEB 会議システム等を用いて開催する理事会についても同条が準用され、その場合の開催方法の考え方については、コメント第43条第1項関係を参照。
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第53条関係【理事会の会議及び議事】

標準規約
理事会の会議(WEB 会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
  1. 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
  2. 前2項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
[※管理組合における電磁的方法の利用状況に応じて、次のように規定]
(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合
  1. 議事録については、第49条(第4項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第2項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
(イ)電磁的方法が利用可能な場合
  1. 議事録については、第49条(第6項を除く。)の規定を準用する。ただし、第49条第3項中「総会に出席した組合員」とあるのは「理事会に出席した理事」と読み替えるものとする。
コメント
  1. 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
  2. したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。
  3. 「理事に事故があり、理事会に出席できない場合は、その配偶者又は一親等の親族(理事が、組合員である法人の職務命令により理事となった者である場合は、法人が推挙する者)に限り、代理出席を認める」旨を定める規約の規定は有効であると解されるが、あくまで、やむを得ない場合の代理出席 を認めるものであることに留意が必要である。この場合においても、あらかじめ、総会において、それぞれの理事ごとに、理事の職務を代理するにふさわしい資質・能力を有するか否かを審議の上、その職務を代理する者を定めておくことが望ましい。なお、外部専門家など当人の個人的資質や能力等に着目して選任されている理事については、代理出席を認めることは適当でない。
  4. 理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
  5. 理事会に出席できない理事に対しては、理事会の議事についての質問機会の確保、書面等による意見の提出や議決権行使を認めるなどの配慮をする必要がある。 また、WEB 会議システム等を用いて開催する理事会を開催する場合は、当該理事会における議決権行使の方法等を、規約や第70条に基づく細則において定めることも考えられ、この場合においても、規約や使用細則等に則り理事会議事録を作成することが必要となる点などについて留意する必要がある。 なお、第1項の定足数について、理事が WEB 会議システム等を用いて出席した場合については、定足数の算出において出席理事に含まれると考えられる。
  6. 第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議を可能とするものである。
  7. 第3項については、第37条の2関係を参照のこと。
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第54条関係【議決事項】

標準規約
理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
  1. 収支決算案、事業報告案、収支予算案及び事業計画案
  2. 規約及び使用細則等の制定、変更又は廃止に関する案
  3. 長期修繕計画の作成又は変更に関する案
  4. その他の総会提出議案
  5. 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
  6. 第58条第3項に定める承認又は不承認
  7. 第60条第4項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法定措置の追行
  8. 第67条に定める勧告又は指示等
  9. 総会から付託された事項
  10. 災害等により総会の開催が困難である場合における応急的な修繕工事の実施等
  11. 十一 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任

  1. 第48条の規定にかかわらず、理事会は、前項第十号の決議をした場合においては、当該決議に係る応急的な修繕工事の実施に充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて決議することができる。
コメント
  1. 第1項第十号の「災害等により総会の開催が困難である場合における応急 的な修繕工事の実施等」の具体的内容については、次のとおりである。
  1. ア)緊急対応が必要となる災害の範囲としては、地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火などが考えられる。なお、「災害等」の「等」の例としては、災害と連動して又は単独で発生する火災、爆発、物の落下などが該当する。
  2. イ)「総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合である。
  3. ウ)「応急的な修繕工事」は、保存行為に限られるものではなく、二次被害の防止や生活の維持等のために緊急対応が必要な、共用部分の軽微な変更(形状又は効用の著しい変更を伴わないもの)や狭義の管理行為(変更及び保存行為を除く、通常の利用、改良に関する行為)も含まれ、例えば、給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻付けによる柱の応急的な耐震補強などが「応急的な修繕工事」に該当する。また、「応急的な修繕工事の実施等」の「等」としては、被災箇所を踏まえた共用部分の使用方法の決定等が該当する。
    なお、理事会の開催も困難な場合の考え方については、第21条関係⑪を参照のこと。
  1. 第2項は、応急的な修繕工事の実施に伴い必要となる資金の借入れ及び修繕積立金の取崩しについて、第48条の規定によれば総会の決議事項であるところ、第1項第十号の決議に基づき実施する場合には、理事会で決議する ことができるとするものである。
  2. ①のほかにも、共用部分の軽微な変更及び狭義の管理行為については、大規模マンションなど、それぞれのマンションの実態に応じて、機動的な組合運営を行う観点から、これらのうち特定の事項について、理事会の決議事項として規約に定めることも可能である。
    その場合には、理事の行為が自己契約、双方代理など組合員全体の利益に反することとならないよう監事による監視機能の強化を図るなどの取組み、理事会活動の事前・事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要である。


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第55条関係【専門委員会の設置】

標準規約
理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができる。
  1. 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する。

コメント
  1. 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となる。
  2. 専門委員会は、検討対象に関心が強い組合員を中心に構成されるものである。必要に応じ検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加も求めることができる。
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第56条関係【会計年度】

標準規約
管理組合の会計年度は、毎年○月○日から翌年○月○日までとする。 マンション標準管理規約TOPに戻る

第57条関係【管理組合の収入及び支出】

標準規約
管理組合の会計における収入は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料によるものとし、その支出は第27条から第29条に定めるところにより諸費用に充当する。 マンション標準管理規約TOPに戻る

第58条関係【収支予算の作成及び変更】

標準規約
理事長は、毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し、その承認を得なければならない。
  1. 収支予算を変更しようとするときは、理事長は、その案を臨時総会に提出し、その承認を得なければならない。
  2. 理事長は、第56条に定める会計年度の開始後、第1項に定める承認を得るまでの間に、以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には、理事会の承認を得てその支出を行うことができる。
  1. 第27条に定める通常の管理に要する経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
  2. 総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの
  1. 前項の規定に基づき行った支出は、第1項の規定により収支予算案の承認を得たときは、当該収支予算案に よる支出とみなす。
  2. 理事会が第54条第1項第十号の決議をした場合には、理事長は、同条第 2項の決議に基づき、その支出を行うことができる。
  3. 理事長は、第21条第6項の規定に基づき、敷地及び共用部分等の保存行 為を行う場合には、そのために必要な支出を行うことができる。
コメント
  1. 通常総会は、第42条第3項で新会計年度開始以後2ヶ月以内に招集することとしているため、新会計年度開始後、予算案の承認を得るまでに一定の期間を要することが通常である。第3項及び第4項の規定は、このような期間において支出することがやむを得ない経費についての取扱を明確化することにより、迅速かつ機動的な業務の執行を確保するものである。なお、第4項の規定については、公益法人における実務運用を参考として、手続の簡素 化・合理化を図ったものである。
  2. 第3項第一号に定める経費とは、第27条各号に定める経費のうち、経常的であり、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることから、前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要である。
  3. 第3項第二号に定める経費とは、総会の承認を得て実施している工事であって、その工事の性質上、施工期間が長期となり、二つの会計年度を跨ってしまうことがやむを得ないものであり、総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるものであって、かつ、第1項の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要である。
  4. 第5項は、第54条第2項の決議に基づき、理事長が支出を行うことがで きることについて定めるものである。
  5. 第6項は、第21条第6項の規定に基づき、災害等の緊急時において敷地 及び共用部分等の保存行為を行う場合に、理事長が支出を行うことができる ことについて定めるものである。
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第59条関係【会計報告】

標準規約
理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。 マンション標準管理規約TOPに戻る

第60条関係【管理費等の徴収】

標準規約
管理組合は、第25条に定める管理費等及び第29条に定める使用料について、組合員が各自開設する預金口座から口座振替の方法により第62条に定める口座に受け入れることとし、当月分は別に定め る徴収日までに一括して徴収する。ただし、臨時に要する費用として特別に徴収する場合には、別に定めるところによる。
  1. 組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合はその未払金額について年利○%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に請求することができる。
  2. 管理組合は、納付すべき金額を納付しない組合員に対し、督促を行うなど、 必要な措置を講ずるものとする。
  3. 理事長は、未納の管理費等及び使用料の請求に関して、理事会の決議により管理組合を代表して、訴訟その他法的措置を追行することができる。
  4. 第2項に基づき請求した遅延損害金、弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用に相当する収納金は、第27条に定める費用に充当する。
  5. 組合員は、納付した管理費等及び使用料について、その返還請求又は分割請求をすることができない。

コメント
  1. 管理費等に関し、組合員が各自開設する預金口座から自動振替の方法により管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第1項の規定は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成13年国土交通省令第110号。以下「適正化法施行規則」という。)第87条第2項第一号イの方法(収納口座の名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る。)又は同号ハの方法を前提とした規定であり、これ以外の方法をとる場合には、その実状にあった規定とする必要がある。その際、管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には、適正化法施行規則第87条第2項に定める方法に則した管理方法とする必要がある。
  2. 徴収日を別に定めることとしているのは、管理業者や口座(金融機関)の 変更等に伴う納付期日の変更に円滑に対応できるようにするためである。
  3. 管理費等の確実な徴収は、管理組合がマンションの適正な管理を行う上で の根幹的な事項である。管理費等の滞納は、管理組合の会計に悪影響を及ぼ すのはもちろんのこと、他の区分所有者への負担転嫁等の弊害もあることか ら、滞納された管理費等の回収は極めて重要であり、管理費等の滞納者に対 する必要な措置を講じることは、管理組合(理事長)の最も重要な職務の一 つであるといえる。管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について 段階的にまとめたフローチャート及びその解説を別添3に掲げたので、実務 の参考とされたい。
  4. 滞納管理費等に係る遅延損害金の利率の水準については、管理費等は、マ ンションの日々の維持管理のために必要不可欠なものであり、その滞納はマ ンションの資産価値や居住環境に影響し得ること、管理組合による滞納管理 費等の回収は、専門的な知識・ノウハウを有し大数の法則が働く金融機関等 の事業者による債権回収とは違い、手間や時間コストなどの回収コストが膨 大となり得ること等から、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金 利率よりも高く設定することも考えられる。
  5. 督促及び徴収に要する費用とは、次のような費用である。
  1. ア)配達証明付内容証明郵便による督促は、郵便代の実費及び事務手数料
  2. イ)支払督促申立その他の法的措置については、それに伴う印紙代、予納切手代その他の実費
  3. ウ)その他督促及び徴収に要した費用
  1. 第2項では、遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴 収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することが「できる」と規 定しているが、これらについては、請求しないことについて合理的事情があ る場合を除き、請求すべきものと考えられる。
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