マンションの専有部分・共用部分・専用使用部分 2


マンションのバルコニーの役割・ルール作り

マンション居住者にとって、バルコニーは住戸内と外を結ぶ大事な空間です。
家に居ながら外を楽しめる唯一の場所ともいえるでしょう。居間からそのまま出られるバルコニーは我が家の一部のようです。

しかし、マンションのバルコニーは多くの事例で共用部分になっています。それを各住戸の人が専用使用しています。また、使い方にはルールがあります。
なぜ共用部分になっているのでしょうか?ルールがあるのでしょうか?理由は次のとおりです。
  1. 建物の大事な躯体です。だから、勝手な使い方をして建物を傷めると困ります。
  2. それぞれの住戸が勝手な使い方をすると、マンション全体の美観を損ねます。
  3. 重いものを置き、荷重がかかりすぎると、落下の危険等があります。
  4. 使い方によっては下階に水が浸透する等、近隣居住者に迷惑をかける可能性があります。
  5. 避難経路を失い、命が危険になる可能性があります。(バルコニーには下へ避難するための避難ハッチや、隣へ逃げるための隔て板などがあります)

だから、バルコニーは共用部分とし、勝手な使い方を認めず、管理組合が規約や使用細則で使い方を定めているのです。
しかし、何でもかんでも禁止では、マンションライフが窮屈になってしまいます。そこで、①~⑤の原因を考え、どんな場合なら認めるのか、管理組合でルールを作ることが必要です。

バルコニー使用細則モデル
参考となる裁判事例
マンションのバルコニーに物置を設置した人に、物置撤去を命じた判例があります(平成3年11月19日 判時1420-82東京地判)。
物置は間口1.5m、奥行90㎝、おおむね人の身長くらいの高さでした。取り外しての移動が容易ではないこと、バルコニーの清掃がしにくくなり落ち葉がたまり、排水が詰まりやすくなること、防水工事の際に移動の手間隙がかかること、外観を悪くしていることから、撤去命令が出されました。

参考:高層住宅管理業協会発行「マンション暮らしのフォーシーズン」2010年夏号
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【判例】床スラブ下の配管は共用部分

2000年3月最高裁で、マンションの床スラブ(床を形成しているコンクリート)下の配管は、該当住戸の支配管理下にあるとは言えないので、一体的な管理が必要になる、このような配管部分は「共用部分」である、という判決が出されました。

一般的に、マンションの排水管は専有部分の床下と床スラブの間(床スラブの上にあたる)にある為、この部分は専有部分となります。
したがって排水管から漏水が発生した場合は、その所有者により改修が必要となります。しかし、床スラブの下にある場合は、 共用部分として管理組合での対応が必要とされるのです。

では、配管が専有部分の取り扱いのマンション(配管が床スラブの上・一般的な位置)で、管理組合が専有部分も含め、全体的に配管の改修を実施したい場合はどうすればよいでしょうか。

マンション標準管理規約第21条2項(敷地及び共用部分等の管理)では、
「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分 の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる。」
と定めていますので、総会で工事の実施が決議されれば、組合で実施することができます。
(2007.11) マンションの専有部分・共用部分・専用使用部分TOPに戻る

ポーチ・アルコーブに三輪車を置いてはだめなの?

マンションの管理規約で、ポーチアルコーブ等に避難通路の障害になる物をおくことを禁止されている場合、三輪車を置いことは規約違反になるでしょうか?

管理規約の目的から考えてみましょう
管理組合の規約や使用細則は、安心・安全な暮らしをお互い送ることができるようにという目的があります。
記されているからだめだ、という考え方ではなく、なぜそのように記されているのか、という考え方にたって考えてみましょう。

ポーチなどに何らかの物を置く場合、それらは一見、通行のじゃまにならない位置にあるかもしれません。しかし・・・
・強風で動くことはないでしょうか?
・火事が起こったときに燃えて、避難経路の障害にならないでしょうか?
・放火の材料にならないでしょうか?
・子供がいたずらするきっかけにならないでしょうか?
いろいろな可能性を考えるて、障害になる可能性があるものは、置くべきではないということになります。

ちなみに、マンションの廊下はたいていの場合、避難通路の扱いになっています。
そしてその幅は1.2m以上(両側が住戸の中廊下式だと1.6m以上)あることが建築基準法で定められています。
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網戸は専有部分?共用部分?

網戸は、標準管理規約で「共用部分」とされています(第7条及びコメント)。
そして、その部屋の特定の区分所有者のみが使用するものなので、共用部分のうちの「専用使用部分」となります。
よく、網戸の修理費用負担について問題になりますが、専用使用部分の「通常の使用に伴うもの」は専用使用権を有する者の負担となりますので(標準規約第21条)、要するに「個人負担」ということになります。
しかしながら、劣化は各戸同様にすすんでいると思われますので、大規模修繕工事などの際に管理組合が主体となって交換希望有無を問うアンケートを行い、希望住戸をまとめて実施するマンションも多いようです。

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