民泊
民泊ガイドライン 管理組合が「禁止の意思なし」と証する書面について
国土交通省・厚生労働省は2017年12月26日、住宅宿泊事業法の解釈や留意事項をまとめた施行要領(ガイドライン)を公表しました。
その中で、
管理規約に民泊を禁止する規定がない分譲マンションで事業を行う場合について、事業者が提供を必要とする「誓約書」が示されました。
ガイドラインの最終ページに書式がありますが、これは「届け出時点で、民泊を禁止する管理組合の意思がないことを確認した」という誓約書です。
また誓約書のほかに管理組合が「禁止の意思なし」と証する書面について、ガイドライン17ページに、以下のような記載があります。
(以下抜粋)
国・厚規則※第4条第4項第1号ヲ(同項第2号ホに規定するものを含む。)に規定する「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」とは、届出者が管理組合に事前に住宅宿泊事業の実施を報告し、届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書(様式C)、又は
本法成立以降の総会及び理事会の議事録その他の管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類をいう。
(抜粋以上)
本法成立後、「禁止する意思がない」ことを記載した理事会・総会議事録が民泊を許可する場合の書面になるとのことです。
反対解釈として、反対する場合の書面としても、
本法成立後、「禁止する」ことを記載した理事会・総会議事録を要するのでしょうか。
個人的に国土交通省に問い合わせをしたところ、法律成立前の禁止決議も無効ではないようなのですが・・・そのあたりを明確にしていただきたいです(泣)。
※国・厚規則→住宅宿泊事業法施行規則
参考/
民泊ガイドライン(国土交通省観光庁ページ)
(2018.2)
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住宅宿泊事業法によるマンション標準管理規約の改正
2017年6月に住宅宿泊事業法が成立し、ちゃんと届け出をすれば、分譲マンションの1室でも民泊が可能となってきました。
これを受けて、国土交通省では、マンションとして可能とする場合、禁止とする場合の標準管理規約が公表されました。
届け出は2018年1月開始予定、施行は同年4月開始予定となっており、マンションとして禁止する場合には早々に管理規約を改正するなど、検討が必要です。
参考/
民泊の教科書
参考/
国土交通省/住宅宿泊事業に伴う「マンション標準管理規約」の改正について
(2017.10)
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なぜ民泊はだめなのか?
マンションで民泊を認めるかどうかについては国土交通省などでも検討が進められていますが、そもそもなぜマンションで民泊は「禁止」とされるのでしょうか。マンスリーマンションなどの短期賃貸借との違いはなんでしょうか?
民泊が「禁止」とされるのは、民泊が旅館業にあたり、営業主にあたるオーナーが、旅館業の許可をとっていないということが理由となっています。
旅館業とは、旅館業法の中で「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。
そして「人を宿泊させる営業」とは、以下に記述する2つの条件を有するものと考えられます。
- 施設の管理・営業形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること
- 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこと
具体的に例をあげると・・
1について
シーツや枕カバーの取替えやトイレ・お風呂の清掃等、衛星管理責任が営業者にある場合がこれにあたります。
2について
ホテル住まいなど、滞在の契約期間が1ヶ月未満の場合は基本的には「生活の本拠ではない」とされます。
この違いが、旅館業とアパート等の貸室業の違いになります。
尚、ウィークリーマンションもとてもあいまいな法規制の中で営業をしています。
参考/
ひとり社長の奮闘記 ウィークリーマンションは民泊なのか?
(2017.1)
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民泊特区とは
2015年10月、東京都大田区が一定の条件下において「民泊」を認める条例案を公表したことで大きな話題を呼びました。これまで不特定多数の顧客を有料で自宅に宿泊させる、いわゆる「民泊」は旅館業法の厳しい規制下に置かれていましたが、大田区はいわゆる「民泊特区」の制度を活用することで旅館業法の適用除外という特例を受け、区内で民泊を認めようとしています。
この「民泊特区」とは一体何なのでしょうか?「民泊特区」は、正式には「国家戦略特別区域」として「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」を定めた区域のことを指します。
国家戦略特別区域とは?
国家戦略特別区域とは、安倍内閣が日本の成長戦略の柱の一つとして掲げている、地域振興と国際競争力の向上を目的として規定された経済特区のことを指します。「国家戦略特区」と省略されることもあります。
国家戦略特区では、そのエリア内に限って従来の規制を大幅に緩和することが認められています。現在国家戦略特区には東京圏(東京都・神奈川県の全部または一部、千葉県成田市)、関西圏(京都府・大阪府・兵庫県の全部または一部)、そして沖縄県や福岡県福岡市などが指定されています。
この国家戦略特区が、内閣総理大臣および都道府県知事から国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業についての認定を受けることにより、同事業については旅館業法の規定が適用されないというルールになっています。
国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業とは?
それでは、「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」とは一体何なのでしょうか?非常に長くて分かりづらいですが、これは次のように定められています。
国家戦略特別区域において外国人旅客の滞在に適した施設であって賃貸借契約に基づき一定期間以上使用させ、滞在に必要な役務を提供するものを経営する事業として政令で定める要件に該当するもの
外国人旅客の滞在に適した施設とは?
色々と条件はありますが、一番のポイントは一居室の床面積が25平米以上であること(ただし、施設所在地を管轄する都道府県の知事が外国人旅客の快適な滞在に支障がないと認めた場合においてはこの限りではありません)という点です。あまりに狭いワンルームなどは特例の対象外なります。
一定期間とは?
一定期間以上とは
「7日から10日までの範囲内において条例で定める期間以上」のことを指します。つまり、いくら民泊特区であったとしても、7日未満の宿泊の場合は特例の適用外となるため注意が必要です。
滞在に必要な役務とは?
滞在に必要な役務としては、施設の使用方法に関する外国語を用いた案内、緊急時における外国語を用いた情報提供などが挙げられています。特例はあくまで外国人の宿泊ニーズを満たすためのものであるという点がポイントとなっています。
民泊条例を可決した民泊特区
民泊特区の対象には東京圏(23区の一部、神奈川県、千葉県成田市)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県全域)が含まれていますが、実際に条例を成立させた自治体は下記となっています(2017年2月現在)。
東京都大田区(2016年1月施行) 大阪府(2016年4月施行)
参考/
日本最大級の民泊サイトMINPAKU.Bizより
(2017.2)
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マンション学会が民泊禁止条項を例示
一般社団法人日本マンション学会は2016年9月12日、「改良版マンション標準管理規約」を発表しました。
2011年7月改正の旧「マンション標準管理規約」をベースに、2016年3月改正の新「標準管理規約」の一部を取り入れ、同学会が独自の修正も施している。
民泊等禁止条項の例示(コメント部分)
第12条関係(専有部分の用途)
- ①住宅としての使用は、専ら居住者の生活の本拠があるか否かによって判断する。したがって
利用方法は、生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する。
- ②暴力団の排除のため、暴力団事務所としての使用や、暴力団員を反復して出入りさせる等の行
為について禁止する旨の規定を追加することも考えられる。
- ③多人数を居住させる脱法ハウスや宿泊等に利用する民泊は、本条項でも規約違反にあたると考えられるが、禁止又は許可を明確にするために条項を追加することも考えられる。この場合、脱法ハウスについては、少人数のシェアハウスならば社会通念に照らして住宅の範囲内であるとの考えがあることを踏まえて、人数を記載する方法を例示した。例えば、禁止する対象を○人以上と記載する。
例:以下の用途は前項に定める住宅としての使用にはあたらないものとする。ただし、理事会の議決を経て理事長が承認する場合はこの限りではない。
- 一1つの専有部分を別個の契約により多人数(○人以上)に賃貸すること(いわゆる脱法ハウス)。なお、1つの賃貸借契約であっても居住者間で家賃の収受を行う場合は別個の契約とみなす
- 二専有部分を不特定多数の宿泊に供すること(いわゆる民泊)
- 三専有部分を1ケ月未満の契約により賃貸すること(いわゆるウィークリーマンション)
参考/マンション管理新聞(2016年第1016号)
(2016.10)
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