マンションには万が一の火災に備えて、消火設備・警報設備・避難設備といった消防用設備が設置されており、いざというときに正常に作動するよう、消防用設備点検が消防法で義務付けられています(違反した場合は30万円の罰金:消防法44条)。

さあ、消防設備と消防設備点検について学んでいこう!
消防設備について
消火器
延床面積150㎡以上の防火対象物から各階ごとに消火器を歩行距離20m以下の間隔で設置要。
地階、無窓階、3階以上では床面積50㎡以上で設置要。
消火器は中に詰めた消火剤による冷却効果や窒息効果にて消火するもので、居住者が初期消火に用いる消防設備です。
消火器の種類は「粉末消火器」「泡消火器」「強化液消火器」「二酸化炭素消火器」などがあり、火災の種類によって使い分けます。
| A火災(普通火災) | 建築物その他工作物(紙や木材など)の火災 |
| B火災(油火災) | 引火性の液体等(油やガソリン)の火災 |
| C火災(電気火災) | 通電(蓄電)中の電気設備等の火災 |
最も普及している消火器は全ての火災に適応した「ABC消火器」という粉末消火器で、蓄圧式消火器と加圧式消火器の2種類があり、現在は蓄圧式が主流となっています。
蓄圧式消火器
あらかじめ窒素ガスで内部が加圧されており、レバーを握ると弁が開き、圧力差で薬剤を即座に放射できます。圧力計で状態を一目で確認でき、レバーも軽い力で操作できるため、高齢者や子どもでも扱いやすくなっています。
容器が劣化すると徐々にガスが抜ける設計になっており、急激な破裂事故を防げるように設計されています。
加圧式消火器
内部にガスが充填されておらず、使用時に内蔵ボンベのガスを放出して加圧する方式です。
外観の点検しかできないため劣化が判断しづらく、容器損傷があると瞬間的な圧力で破裂するリスクがあります。
さらに、蓄圧式より大きな握力が必要で、子どもや高齢者にとっては操作が難しいというデメリットもあります。
ハンドルから手を放してもガスが全て放出されるまで薬剤の放射が止まることはありません。


消火器の耐用年数
耐用年数はおおむね10年です。 これまで消火器の耐用年数は8年とされておりましたが、法改正※に伴い、設計標準使用期限が10年に定められました。製造から10年を経過した消火器は交換か耐圧試験が必要となります(以降は3年ごと)。
※「消火器の技術上の規格を定める省令の一部を改正する省令」(平成22年総務省令第111号)
住宅用消火器
各住戸に消火器を設置した場合、共同部分の設置が免除されます。
その場合に設置する消火器は「住宅用消火器」と指定されています。 構造は使用時の反動が少ない蓄圧式となっていて、有効期間はおおむね5~6年です。



消火器の使い方は「ピン・ポン・パン」だ!覚えておいてくれよな!


屋内消火栓設備
延べ床面積700㎡以上、または地階、無窓階、4階以上の床面積が150㎡以上
消火器同様、初期消火に使用する消防用設備で、2人で操作する1号消火栓(消火栓からの有効範囲が半径25m以下)と、1人で操作する2号消火栓(消火栓からの有効範囲が半径15m以下)があります。
※1号消火栓を1人でも操作できるようにした易操作性1号消火栓もあります。
1号消火栓


2号消火栓


屋外消火栓設備
1階、または1階と2階の床面積が耐火建築物では9,000㎡、準耐火建築物では6,000㎡、その他の建築物では3,000㎡以上で設置要
スプリンクラー設備
マンションの11階以上
スプリンクラー設備は、建物の室内天井に取り付けられ、火災の熱で自動的に水が噴射する消火設備です。
配管内に水が充填されている湿式と、充填されていない乾式があります。
スプリンクラーは自動で散水を始めますが、誰かが止めない限り散水し続けます。そのため、止めなければ水浸しになり、水による被害が発生します。
各階に制御弁装置があるので、場所を確認しておきましょう。制御弁のハンドルを右に回せば水は止まります。


自動火災報知設備
延べ面積500㎡以上
11階以上や地階、無窓階、床面積300㎡以上の3階以上他
参考/消防省消防庁資料






火災の発生を熱や煙で感知し、建物内の人たちに自動的に火災を報知する設備です。
感知器には次のように熱を感知するもの、煙を感知するもの、炎を感知するものがあります。
熱感知器
差動式スポット型感知器


温度が上昇することで、内部の空気が膨張して感知するものです。一定の時間における上昇割合によって作動するもので、感知する温度は一定ではありません。火災ではない緩やかな温度上昇の時はリーク孔から空気が出ていき感知しません。
定温式スポット型感知器


一定の温度になったときに感知するものです。
煙感知器
光電式スポット型感知器


感知器の内部に煙が入ると、発行部から出る光が煙の粒子にあたって乱反射し、それを受光部で感知します。
光電式分離型感知器
送光部の感知器と、受後部の感知器が分離して設置されており、感知器間の目に見えない光ビームが煙によって遮られることで感知します。
イオン式スポット型感知器


空気の電離作用の強いα線を出すアメリシウム241などの極めて微弱な放射性物質が入っており、常に感知器内の空気を電離しており、煙が入ってくると煙粒子によりイオン電流が減少することで感知します。
イオン式はスポット型のみで分離型はありません。
炎感知器
赤外線型式スポット型感知器・紫外線式スポット型感知器


炎の赤外線や紫外線を感知して作動します。
避難設備
消防法に基づき収容人員30人以上の2階以上
建築基準法に基づき二方向避難の確保として
マンションの避難設備には、避難器具・誘導灯(誘導標識)があります。


誘導灯
災害発生初期段階の避難誘導を目的としており、消防設備点検の対象となっています。バッテリーにより最低20分間点灯します。(※建築設備である非常灯は救出作業時の照明確保を目的とし、耐熱性とバッテリーによる30分間の照度確保が求められます。)
誘導灯の種類と耐用年数誘導灯には2種類あり、その場所が避難口であることを示す「避難口誘導灯」と、避難口の方向を示す「通路誘導灯」です。背景が緑のものが避難口誘導灯、白いものが通路誘導灯です。


耐用年数について、パナソニックでは、器具本体の交換目安を8~10年、蓄電池の交換目安を4~6年としています。
| 器具の種類 | 適正交換時期 | 耐用の限度 |
|---|---|---|
| 電池内蔵型 | 8~10年 | 12年 |
| 電源別置型 | 8~10年 | 15年 |



こんにちは~わたくしの紹介もお願いできます~?



こんにちは非常灯(非常照明)くん。
君は「消防設備」ではなく「建築設備」だ!



おじゃましました~
非常警報設備
「収容人員50人以上」または「地階および無窓階の収容人員20人以上」のマンションは枠下1〜3のうち1つを、「地上11階以上または地下3階以上」または「収容人員800人以上」の大規模マンションは、3とともに、1か2の設置要。(自動火災報知設備がある場合は、2・3を省略することができます)
- 非常ベル
- 自動式サイレン
- 放送設備
消防設備点検について
消防設備が正常に作動するか確認するため、定期的に消防設備点検を実施し、結果を消防署に報告する必要があります。
消防法上、建物は「非特定防火対象物」と「特定防火対象物」に分けられます。
特定防火対象物
デパート・ホテル・病院・飲食店など不特定多数の人が出入りする建物
非特定防火対象物
マンション・学校・寺院・工場等など特定の人が出入りする建物。



「特定防火対象物」では、より厳しいチェックが必要になるよ!
点検方法・点検期間
機器点検(外観機能点検) 6ヶ月に1回
消防用設備等の種類に応じて、消防設備が適正に配置されているか、損傷が無いかを告示で定める基準に従い確認する事です。
簡単な操作により判別できる事項については、実際に感知器を作動させたり、非常ベルを鳴動させて点検します。
総合点検 1年に1回
当該消防用設備等の種類に応じて、起動させ告示で定める基準に従い確認することです。



要するに、機器と機器&総合点検で年2回実施することになるよ!
機器点検と総合点検の違いは微妙。総合点検では例えば消火栓設備は放水し手圧力を確認、避難はしごなら実際に降ろしたりするよ!ここが詳しい。
消防署への報告 3年に1回
特定防火対象物は1年に1回、非特定防火対象物は3年に1回の報告が必要です。
マンションは非特定防火対象物となり、3年に1回、消防署への報告書提出が必要となります。
ただし、建物の一部に特定防火対象物の用途が入っている場合、建物全体が特定防火対象物として扱われますので注意が必要です。例えば、1階に店舗が入っているマンションは特定防火対象物として1年に1回報告が必要となります。


点検者
述べ床面積が1,000㎡以上のものは、消防設備士免状の交付を受けている者
又は消防設備点検資格者の資格を有する者が点検を行います。(消防法第17条3の3)
それ以外の場合の点検は、防火対象物の関係者が自ら点検できることとなっています。しかし、消防設備は専門の知識が無ければ適切な点検ができませんので、やはり有識者に任せた方が良いでしょう。
報告をしなかった場合の罰則
点検の結果を報告せず、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金または拘留に処せられます。



マンションの消防設備点検って、室内はどこを見るの?



室内の火災感知器とバルコニーの避難器具を見るよ!



ごめんなさい、消防設備点検の日に予定が・・不在になってしまうわ。
罰則があるのかしら。



罰則はない。やむを得ず見送ってもらうまでだが、次回は在宅してくれよな!
防火管理者とは
特定防火対象物では収容人数30人以上(入所型の老人ホームや乳児院等では10人以上)、非特定防火対象物では収容人数50人以上ある場合に防火管理者の選任が必要となります。
居住用のマンションは「非特定防火対象物」となりますので、居住者が50人以上住んでいるマンションで選任が必要です。
- 収容人数50人未満 → 選任不要
- 収容人数50人以上・延床面積500㎡未満 → 乙種防火管理者の選任が必要
- 収容人数50人以上・延床面積500㎡以上 → 甲種防火管理者の選任が必要
防火管理者の主な責務
- 消防計画書の作成
- 消防訓練の実施
- 消防用設備の点検整備
- 火気の使用又は取扱いに関する監督
- 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
- 収容人員の管理
- その他防火管理上必要な業務
防火管理者を定めなかった場合の罰則
6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(消防法42条)。
防火管理者講習
防火管理者になるには、防火管理者資格を取得し、消防署に届出をする必要があります。防火管理者資格には甲種と乙種があり、甲種は2日、乙種は1日講習を受ける必要があります。講習の最後に簡単なテストがあり、合格率はほぼ100%です。
統括防火管理者とは
商業目的のテナントが入っている建物の場合、建物全体が防火管理者設置を要する対象であった場合、各テナントで防火管理者を選任する必要があります。複数の管理権原者で構成される建物では、全体で相互協力する体制がないと、火災の時に混乱を招きます。
そこで、2014年(平成26年)4月1日に『統括防火管理者制度』が施行され、対象となるの建物のオーナーに『統括防火管理者の設置(選任)』が義務付けられました。


統括防火管理者が必要な防火対象物
次のいずれかに該当する防火対象物で、管理について権原が分かれている※ものに統括防火管理者の選任が必要となり、
共同住宅(マンション)は管理について権限が分かれているものとして扱われます。
- 高層建築物(高さ31mを超える建築物)→だいたい11階以上
- 避難困難施設が入っている防火対象物のうち地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が10名以上のもの
- 特定用途の防火対象物のうち、地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が30名以上のもの
- 非特定用途の複合用途の防火対象物のうち、地階を除く階数が5以上で、かつ、収容人員が50名以上のもの
- 地下街のうち消防長または消防署長が指定するもの・準地下街
※共同住宅は管理について権原が分かれているものとして扱われます。



なんでやねん。
防火設備点検について
防火設備点検は消防法の管轄と思いきや、建築基準法の管轄になります。
「法定建築設備点検・特定建築物定期調査・防火設備点検」のページをご参照ください!





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