マンション管理適正化推進法

改正関係

管理委託契約に関する重要事項説明関連

マンション管理適正化推進法とは

平成12年(2000年)、マンションの重要性が増大している状況に対応するため、国は「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」を制定しました(平成13年8月1日施行)。
これまで、「中高層分譲共同住宅」という言葉が使われていましたが、この法律により初めて法的に「マンション」という言葉が誕生しました。
また、マンション管理士及びマンション管理業務主任者の国家資格制度、マンション管理適正化推進センターを創設し、マンション管理業者の登録制度等を定めました。

公布時:マンション管理適正化推進法 全文PDF
現在:マンション管理適正化推進法 全文
改正関係資料 (国土交通省HP内)
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則
 ↑具体的な内容やルールなどは施行規則に記載されています

<法律の概要>
マンション管理士について(第6条~)
マンション管理業の登録について(第44条~)
マンション管理業の管理業務主任者について(第56条~)
マンション管理業の業務・監督について(第70条~)
マンション管理適正化推進センターについて(第91条~)
マンション管理業者の団体について(第95条~)
 →一般社団法人 マンション管理業協会のこと

<マンション管理業者の業務規制の概要>
管理業務主任者の設置
 30組合に1人の割合で設置(施行規則第61条)
標識の掲示(第71条)
 マンション管理業者は事務所ごとに標識を掲示 ・管理委託契約に関する重要事項説明(第72条)
管理委託契約成立時の書面交付(第73条)
再委託の禁止(第76条)
 管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務について一括再委託を禁止 ・財産の分別管理(第76条)
管理事務の報告(第77条)
書類の閲覧(第79条)
秘密保持義務(第80・87条)
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マンション管理士について

マンションに関するトラブルは、マンションに関する専門知識がないと解決できません。そこで、マンション管理士という資格を定めて、区分所有者たちから相談を受け、助言・指導・援助を行うことができることにしました(2条5項)。

名称の使用制限(43条)
マンション管理士でない者はマンション管理士又はこれに紛らわしい名称を使用してはいけません。マンション管理士は、マンション管理士という名称を独占できます。
しかし、業務独占資格では無く、管理組合に助言する等の行為にマンション管理士の資格は必要ありません。

マンション管理士までのプロセス
マンション管理士になるには、マンション管理士試験に合格することが必要です(6条)。受験資格は一切ありません、誰でも受験できます。
国土交通大臣は、試験に関してカンニング等の不正の行為があった場合、その受験を停止させ、又はその試験を無効とすることができます。(9条1項)。
マンション管理士試験に合格した者は、マンション管理士資格者となります。マンション管理士資格者は、国土交通大臣の登録を受けることができ、これを受けるとマンション管理士となります(2条5号)。
何年以内に登録を受けなければならないという制限は無く、合格してから10年後でも登録をすることができます。

マンション管理士登録の要件
マンション管理士試験は誰でも受験できますが、登録には欠格要件があり(30条1項1号~6号)、たとえば次のような場合は登録を受けることができません(1号~4号)。
  • 成年被後見人又は被保佐人
  • 禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • この法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • マンション管理士が、偽りその他不正の手段により登録を受けたり、マンション管理士としての三大義務のどれかに違反したことを理由に登録が取り消されたときは、取り消しの日から2年を経過しない者

マンション管理士の三大義務
適正化法では、マンション管理士の3つの義務を定めています。
①信用失墜行為の禁止
マンション管理士は、マンション管理士の信用を傷つけるような行為をしてはなりません(40条)。
②講習の受講
マンション管理士は、国土交通省令で定める期間(5年)ごとに講習を受けなければなりません。講習は、国土交通大臣又は国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関が行います(41条・規則41条)。
③秘密保持義務
マンション管理士は、正当な理由が無いのに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはいけません(42条)。

マンション管理士登録証
指定登録機関がマンション管理士の登録をしたときは、登録申請者に登録簿に登録された事項を記載したマンション管理士登録証を交付します(37条・31条)。管理業務主任者証には有効期間がありますが(5年)、この登録証には有効期間の定めはありません
また、マンション管理士が助言・指導・援助という業務を行う場合に、登録証の提示は必要ではありません。

☞参考:本「楽学 管理業務主任者」
(2014.1)
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マンション管理業について

マンション管理適正化法は、マンション管理業を適正化するために、次の3つを定めています。
  1. マンション管理業を登録制にし、無登録営業を処罰の対象とする。
  2. 管理業務主任者制度を創設する。
  3. マンション管理業者の団体を創設させ、国土交通大臣が指定する。

①について
マンション管理業を行うには、国土交通大臣の登録を受けなければなりません。登録制度を実施することにより、管理業者に法律違反等があった場合、国土交通大臣は必要な指示処分、業務停止処分、登録の取り消しなどの監督処分を行うことができるようになりました。
②について
管理業務主任者とは、管理業務主任者試験に合格し、登録を受け、管理業務主任者証の交付を受けた人です。
管理業務主任者は、マンションの区分所有者等に重要事項の説明を行い、重要事項説明書に記名押印するなどの役割を担当します。マンション管理業者は、事務所ごとに定められた人数の管理業務主任者を設置し、業務が適正に行われることを目指しています。
③について
マンション管理業者の団体とは、国土交通大臣が指定した団体で、マンション管理業者の業務の改善向上を図る目的を有する団体です。マンション管理業者を社員(構成員)とする一般社団法人で、管理組合等からの苦情の解決、管理業務主任者等に対する研修等を行い、マンション管理業者の業務の改善向上を図ります。(一般社団法人「マンション管理業協会」

マンション管理業の登録
マンション管理業を営もうとする者は、国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けなければなりません(44条1項)。
登録の有効期間は5年です(44条2項)。
なお、マンション管理業とは「管理事務」を業として行うものです。
「管理事務」は第2条7項で「マンションの管理に関する事務であって、基幹事務(管理組合の会計の収入及び支出の調定及び出納ならびにマンションの維持又は修繕に関する企画又は実施の調整をいう)を含むものをいう」と定められています。警備業務や清掃のみの委託を受ける場合には、マンション管理業には該当しませんから、登録を受ける必要はありません。
再委託の制限
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けた管理事務のうち、基幹事務については、これを一括して他人に委託してはいけません(74条)。
基幹事務のすべてを複数の者に分割して委託する場合も一括再委託の禁止に該当します。
たとえばA管理会社が、会計事務はB社・出納事務はC社・維持修繕の企画実施調整事務をD社に再委託する場合も一括再委託に該当します(平成13.7.31国総動51号)

☞参考:本「楽学 管理業務主任者」
(2014.1)
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管理業務主任者について

①管理業務主任者とは
管理業務主任者とは、管理業務主任者証の交付を受けた者をいいます(適正化法2条9号)。
②重要事項の説明・重要事項説明書への記名押印
管理委託契約を締結する前には、重要事項の説明が行われますが、この説明を担当できるのは、管理業務主任者だけです。(72条1項)
また、この重要事項説明書には、管理業務主任者が記名押印することになっています(72条5項)
③委託契約書への記名押印
管理委託契約が締結された場合には、契約成立時に交付する書面(管理事務委託契約書)を交付しなければなりませんが(73条1項)、この書面には管理業務主任者が記名押印することになっています(73条2項)。
④管理事務の定期的報告
マンション管理業者は、委託を受けた管理事務の処理状況について、定期的に報告をする義務がありますが、この報告を行うものも管理業務主任者となります(77条)。

②~④は「専任」※でない管理業務主任者でもかまいません。
※「専任」とは
原則として、マンション管理業を営む事務所に常勤(マンション管理業者の通常の勤務時間を勤務することをいう)して、もっぱらマンション管理業に従事する状態をいいます。
したがって、午前中だけのアルバイトやパートは、専任の管理業務主任者になることができません。

⑤管理業務主任者の設置
マンション管理業者は、その事務所ごとに、国土交通省令で定める数の成年である専任の管理業務主任者をおかなければなりません(56条1項)。
その数は規則61条により、30組合につき1人以上となっています。
なお、人の居住の用に供する独立部分が5以下である管理組合の場合は、設置しなくてもいいことになっています。

<具体例>
200組合うち15組合は5戸以下の場合
(200-15組合)÷30≒6.16=7人以上

(2013.2)
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管理事務報告について

管理事務報告についてはマンション管理適正化法第77条及び同施行規則第88条で定めています。

マンション管理適正化法第77条(管理事務の報告)
マンション管理業者は、管理事務の委託を受けた管理組合に管理者等が置かれているときは、国土交通省令で定めるところにより、定期に、当該管理者等に対し、管理業務主任者をして、当該管理事務に関する報告をさせなければならない。
(第2項・3項略)

マンション管理適正化法 施行規則第88条(管理事務の報告)
マンション管理業者は、法第七十七条第一項の規定により管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理の状況について次に掲げる事項を記載した管理事務報告書を作成し、管理業務主任者をして、これを管理者等に交付して説明をさせなければならない。
 一 報告の対象となる期間
 二 管理組合の会計の収入及び支出の状況
 三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

法・規則では特に期限を定めておりません。当ホームページ管理者が勤務する会社では管理委託契約の中で「決算から2か月以内」と定めています。
(2020.7)
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【コロナ対策】管理事務報告について

管理事務報告・管理委託契約に関する重要事項説明は本来「対面」(直接)で行うこととされています。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、国土交通省からその必要性について見解が出され、一般社団法人マンション管理業協会より、その周知のための文書が発行されました。

マンション管理業協会発行
新型コロナウィルス感染症拡大に伴うマンション管理適正化法上の業務に関する国土交通省からの周知依頼について

<周知内容:国土動指第20号概要>
・やむを得ない事由がある場合、ITを活用した方法(WEB会議システム等)により実施した重要事項説明・管理事務報告書説明は説明として取り扱う。
・適切な実施かどうかの判断基準については、一般社団法区人マンション管理協会が作成しているマンション管理業者によるITを活用した重要事項説明等に係る社会実験のためのガイドラインを参考にすること。

※ITを活用した管理者等に対する重要事項説明に係る社会実験のためのガイドライン
※ITを活用した管理事務報告に係る社会実験のためのガイドライン
掲載場所:一般社団法人マンション管理業協会ページ

(2020.7)
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財産の分別管理イロハ方式について

管理組合の管理費・修繕積立金の保管方法について、平成22年(2010年)の改正をうけ、現在はイロハ方式の3通りに分類されています。
参考:国土交通省ページ「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」の一部改正について

<平成22年(2010年)改正の概要>
①方式の変更
これまでの3方式(原則方式・収納代行方式・支払一任代行方式)から、イロハ方式の3方式に変更となりました。
②保証契約の締結
イ・ロ方式を採択した場合、一月分の管理費・修繕積立金の額について、有効な保証契約の締結が必要となりました。
③印鑑等の管理の禁止
管理業者が印鑑等の管理をすることは禁止されました。
④会計の収支状況に関する書面の交付等
毎月翌月末日までに書面を作成、交付が必要となりました。(施行規則第87条第5項)
⑤立ち入り検査の際の身分証及び業者標識の表記事項
⑥その他所要の改正

<国土交通省説明資料より解説>
説明資料1
第87条第1項でいうお金は「管理費」のことになります。
※法第76条:マンション管理適正化法76条(分別管理)
マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する修繕積立金その他国土交通省令で定める財産については、整然と管理する方法として国土交通省令で定める方法により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければならない。

説明資料2 イ:管理費と積立金を一つの口座に入金します。

説明資料3 ロ:管理費と積立金を別々の口座に入金します。(手間と費用がかかるため、採用している管理組合があるのか疑問です)

説明資料4 ハ:口座一本です。

説明資料5 収納口座の分は、マンション管理業者は保証協会と保証契約を締結しなくてはなりません。
しかし、収納口座の名義が理事長名義で管理会社が印鑑を保管していない場合はその必要はありません。

ホームページ管理者が勤務する会社でも、収納口座も保管口座と同等の取り扱いをしておりますので法的には保証契約の必要は無いのですが、「管理会社がつぶれた場合には他の管理会社をあっせんする」という保証内容があり、管理組合のため契約をしています。

また、イ方法の月末の資金移動については、国総動第47号において、収納口座が第87条第3項各号に該当するとき(管理組合名義の口座・管理会社が印鑑を保管しない)で、組合も了承していれば、収納口座保管でも差し支えないと示されています(国総動第47号 2(1)②)。

説明資料13ページ目からは、第87条第5項附則5条関係として、管理事務報告の電磁的記録による方法が記載されています。
(参考:16ページ目)
説明資料6
☞参考:国土交通省「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則」の一部改正について
      国土交通省 改正内容説明資料(本ページ資料の引用元)
(2020.4更新)
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