1938年、ドイツの新聞がアスベストと肺がんの関係について公表しました。
ナチス・ドイツはすぐに対応しましたが、このナチス時代の研究は第二次世界大戦後無視されていました。
アスベストの製造物責任を世界で最初に追及されたのはアメリカのマンビルという会社です。
1973年に製造者責任が認定されると、類似の訴訟が多発し、1985年までに3万件に達しました。
そして世界的にアスベストの使用が削減・禁止されるようになりました。
日本では、
1975年(昭和50年)に吹き付けアスベストの使用が禁止され、2004年には石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止されました。
2005年にアスベスト原料やアスベストを使用した資材を製造していたニチアス、クボタで製造に携わっていた従業員やその家族など多くの人間が死亡していたことが報道され、問題となりました。
(2009.7)
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工法には以下の3つの方法があります。
①除去工法
吹き付けアスベスト等を下地から取り除く作業。最も確実に安全にする工法です。
②封じ込め工法
吹き付けアスベスト等の層を残したまま、薬剤等を含浸したり、造膜材を散布し、吹
付けアスベスト等を固定することで悲惨を防止する工法。除去工法より安価ですが
建物の取り壊し時には除去工事が必要になります。
③囲い込み工法
吹き付けアスベスト等の層を残したまま、板状材料等で覆うことで、粉塵の飛散や
損傷防止等を図る工法。除去工法より安価ですが、建物の取り壊し時には、除去
工事が必要になります。
※工事にも国と地方公共団体の補助制度が活用できます。
法律上では、石綿作業や廃棄処理について、石綿作業主任者の選任や特別管理産業廃棄物管理責任者の配置が必要とされています。
国土交通省のホームページでは、吹き付けアスベストの除去に関する費用等について過去実績からの集計結果を公表しています。
→石綿除去に関する費用について
尚、公表されている結果内容は以下の通りです。
(2009.7)
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※1
「
吹付アスベスト」とは、耐火、防音等を目的として、アスベスト(石綿)にセメント等を混ぜて、天井や壁等に吹付けられたものをいいます。
昭和30年代から施工され始め、昭和46年から47年ころまでが最も多く使われました。
昭和50年に原則禁止の措置がとられ、平成2年以降はロックウール(岩綿)など他の材質が使われています。
吹付アスベストで、経年劣化により劣化しているものや衝撃などにより損傷しているものはアスベスト繊維が飛散しやすくなります。
※2
建築年代のほか、設計図(仕上げ表など)で「アスベスト吹付け」などの表示により、判断することができます。
【参考】
①吹付アスベストの商品名
1)オパベスト 2)サーモテックスA 3)スターレックス 4)トムレックス
5)ノザワコーペックス 6)プロベスト 7)ヘイワレックス 8)リンペット
②アスベストを含有する吹付けロックウールの商品名
1)アサノスプレーコート 2)浅野ダイアブロック(昭和50年耐火構造としての大臣
指定取り消し) 3)オパベストR 4)サーモテックス
5)スターレックス-R(昭和57年耐火構造としての大臣指定取り消し)
6)スプレーエース 7)スプレーテックス 8)スプレイクラフト
9)タイカレックス 10)ニッカウール(昭和62年耐火構造としての大臣指定取消)
11)ノザワコーペックス-R 12)パルカロック 13)プロベスト
14)ヘイワレックス 15)ペリーコートR
※3
「損傷等がある」とは、①吹付け面全体に毛羽立ちがある ②繊維のくずれがある
③繊維の垂れ下がりがある ④吹付け面全体に損傷・欠陥がある
⑤床面に破片が頻繁に見られる ⑥吹付け財が下地と遊離している、などの状態をいいます。
※4
アスベストがどうか建築年代や設計図書等で判定できない場合は、X線回析分析や電子顕微鏡による調査をする方法があります。
※5
吹付アスベストの対策として以下のようなものがあります。
①除去
壁等から剥離し、撤去することです。
②封じ込め
表面固化処理または内部浸透処理により、アスベスト層の表面等を固定することです。
③囲い込み
板材やシート等で囲うことです。
<Q&A>
Q1:吹付アスベストであるかどうかの見分け方は?
A:設計図書による確認、目視による方法、X線回析分析などがあります。
設計図書や目視でわからない場合、サンプルを採集し、分析することとなります。
Q2:分析方法は確立されていますか?
A:X線回析分析でアスベストの含有の有無が分かるが、標準的な分析方法が確立
されているものではありません。
(参考:都内の検査機関、社団法人日本石綿協会のHP)
Q3:吹付アスベストが飛散するのはどのような時ですか?
A:損傷した場合や振動等により飛散します。
Q4:吹付アスベストの除去工事において、環境基準はありますか?
A:特に定められていません。(参考となる規準はQ8参照)
Q5:吹付アスベストの濃度を測定する場合、費用はどれ位かかりますか?
A:某機関の例です
①石綿の有無の調査・有の場合の含有量の測定
定性分析(存在の有無) 31,500円
濃度分析 31,500円
②大気中の石綿の測定
1点につき 17,000円(5箇所以下) 13,000円(上記以上)
派遣料金 23,000円(半日) 40,000円(1日)
Q6:通常、アスベストは大気中にどの位あるのですか?
A:平成14年度の都内6箇所の調査で大気中に0.2本以下/1リットルから0.6本
/1リットルでした。
Q7:吹付アスベストを除去する場合、環境においてどの程度になったら除去
するべきですか?
A:大気汚染防止法には、環境基準は定まっていません。
Q8:現在、吹付アスベストがあり、除去工事をしたいと思います。
大気汚染防止法では環境基準は定められていないとのことであるが、東京都の
条例で除去の基準を定めていますか?
A:都では、現在使用中の建築物のアスベストの除去基準は決めていません。
参考となる基準として、大気汚染防止法に定められたアスベストを取り扱う工場な
どの敷地境界線における規制基準、10本/1リットルというものがあります。
また、ビル管理における建築物内の「吹付けアスベストに関する室内環境維持管
理指導指針」が定められています。
Q9:吹付アスベストの対策として、除去工事のほかに方法がありますか?
A:吹付けアスベストの表面に固化剤を塗布し封じ込める方法や、天井や壁を設けて
吹付けアスベストを囲う方法があります。
Q10:何か対策などのマニュアルはありますか?
A:「建築物の解体等に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル」があります。
(マニュアル掲載ページはこちら※2022年現在ページ無し)
練馬区発行「建築物における吹付アスベストの飛散防止対策と調査のお願い」より
(2009.11)
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建築基準法の規制について
鉄骨造において、耐火構造とするために「吹付石綿」が使用されてきました。
労働安全衛生法の規制について
アスベストは、労働安全衛生法第55条により製造等が禁止されています。
さらに、平成17年7月1日に関係労働者の健康障害防止対策の充実を図る規則の改正がされています。
大気汚染防止法・都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の規制について
アスベスト(石綿)を除去する工事を行う場合、環境確保条例第124条の規定により
工事の開始の14日前までに施工計画を届けなければならないこととなっています。
また、条例第152条の規定により、現場等に立ち入りができ、必要な指導が行えることとなっています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律について
アスベストは特別管理産業廃棄物として、安定型処分場等に処分されることとなっています。
練馬区発行「建築物における吹付アスベストの飛散防止対策と調査のお願い」より
(2009.11)
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