建築設備に関する定期検査報告制度は、
建築基準法に基づいた制度で、建物や昇降機等をいつまでも安全に使用するために、多くの人が利用する建築物の設備や昇降機、遊戯施設(※1)を対象に専門的な知識をもった検査資格者により定期的な検査(設備・昇降機は
年1回、遊戯施設は半年に1回)をして、その結果を所轄特定行政庁に報告するように義務付けたものです。
※1 ジェットコースター・観覧車など
対象建築物は
東京都では、階数が
5階以上かつ床面積の合計が1,000㎡を超える共同住宅が対象となります。
対象建築物を含め、実施方法は地域によって異なりますので、詳細は特定行政庁や地域法人などにお問い合わせ下さい。
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東京都域の対象建築物
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定期報告制度を扱う地域法人一覧
検査資格者とは
一級・二級建築士及び建築基準法第12条3項及び同施行規則第4条の20の規定に基づく建築設備検査資格者です。
建築設備とは
換気設備・排煙設備・非常用の照明設備・給水設備及び排水設備です。
なお、換気設備について、共同住宅の区分所有の室内については現行は免除されています。(※各地域の特定行政庁に確認してください。)
点検の内容
①
排煙設備
排煙設備とは、火災時に発生する煙や有毒ガスを建物の外に出し、屋外等に安全
に避難するための設備です。
点検では排煙口の開閉、手動開放装置、排煙機の運転状況、及び法定の排煙
風量が確保されているか、検査します。
②非常用の照明装置
マンションが停電になった時でも、予備電源により点灯が可能な装置です。
点検では、停電時に法定の明るさが確保できているか、照度計で照度を測定した
り、予備電源(バッテリーなど)などの性能や外観を検査します。
③給水設備及び排水設備
受水槽、高置水槽、各種ポンプや配管などです。
検査では、給水設備及び排水設備が正常にはたらき、不衛生な飲料水を供給して
いないか、外観点検をします。
検査が終了したら
検査の結果、良好な状態であることが確認できた場合は、報告済証マークが配布されますので、マンションに掲示しましょう。
改修を要する事項が指摘された場合には、改修結果報告後、配布されます。
※エレベーターの点検については、通常保守契約を締結しているエレベーター会社
が契約の中で実施します。
参考:
財団法人 日本建築設備・昇降機センターHP
(2009.7)
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法定建築設備点検と同様に、
建築基準法の規定に基づく調査報告です。
マンションや劇場、百貨店、ホテルなど、多くの人々が利用する建築物(このような建築物を「特殊建築物等」といいます。)は、ひとたび火災などが発生した場合、大きな災害につながります。
このため建築物には防火区画の適切な設定、避難階段や避難器具の整備など、多くの安全対策が必要とされています。
しかし、これらの防災設備は、日頃の維持管理を怠るといざというときに本来の機能を発揮できません。
また、建築物の躯体や外部設置機器、塀などの劣化状況を把握することも、事故を未然に防ぐために必要なことです。
そのため、
3年に1回、定期的に調査資格者による調査を実施し、特定行政庁へ報告することが義務づけられました。
対象建築物
法定建築設備点検と同様です。
調査資格者とは
1・2級建築士 又は 国土交通大臣が定める資格を有する者(特殊建築物等調査資格者)です。
調査項目
調査の項目は大きく分類すると、以下の5項目になります。
①敷地の状況調査
敷地の地盤沈下・敷地内排水・擁壁(※1)、がけ等の現況および維持状況の調査
※1 切土や盛土部で斜面の土が崩れるのを防ぐために設けられる壁のような構
造物のこと
②一般構造の状況調査
採光に有効な開口部の状況、換気設備の設置状況の調査
③構造強度の状況調査
基礎・土台・柱・梁・壁・天井・外壁・屋外設置機器等の欠損・劣化・緊結(※2)状
況等の現状調査及び、塀・工作物等(独立看板等)の設置状況・劣化等の調査
④耐火構造等の状況調査
外壁・屋根・開口部・内装仕上げ等の耐火・防火性能の確認及び防火区画の状況
又は、防火設備(塀・シャッター等)の設置・維持管理・点検状況等
⑤避難施設等の状況調査
避難通路・空地・出入り口・廊下・階段・避難バルコニー・避難器具・非常用進入口
等の設置と維持管理の状況及び排煙設備・非常用照明装置・非常用昇降機の設
置と維持管理の状況調査
検査が終了したら
検査の結果、良好な状態であることが確認できた場合は、報告済証マークが配布されますので、マンションに掲示しましょう。
改修を要する事項が指摘された場合には、改修結果報告後、配布されます。
既存不適格建築物とは?
指摘事項として、「既存不適格」と記載されることがあります。
既存不適格とは建築物を建てられた当時は適法であっても、法令等の改正に伴い現行法規に適合しないことをいいます。
そのまま建物を使用する場合は問題ありませんが、増築・改築等をする際にはその部分を現行法規に適合するように改善しなければならない場合があります。
☞参考:
財団法人 東京都 防災・建築まちづくりセンターHP
☞判定基準について参考:
神奈川県建築協会HP内ページより
(2009.7)
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