管理組合の保険・保険事故
共用部分に保険をかけましょう
保険は、何かが起きた場合の経済的な損害を補填してくれるものです。
一戸建てに住んでいる場合でも、火災や自然災害などのリスクがありますが、マンションには、これに加えて特有のリスクがあります。
例えば、漏水の場合部屋の中に損害が出るだけでなく、階下に被害が出てしまう可能性もあります。マンションの外壁がはがれ落ちて通行人にケガを負わせてしまったなども考えられます。
専有部分に火災保険を付保するかどうかは区分所有者である個人の自由ですが、共用部分についての火災保険の加入は、マンションの管理規約によって「管理組合の業務」として定められていることがほとんどです(
標準管理規約第32条7項)。
※火災保険の新規締結や補償内容を変更しての締結は、総会での決議が必要となります(
区分所有法第18条4項・普通決議)。
マンション管理組合向けの損害保険に関して、近年、多くの損害保険会社から保険新商品が発売されています。保険内容を確認し、管理組合にとってよりメリットの大きい保険を選びましょう。
☞参考
マンション管理組合用火災保険 取扱保険会社・保険商品一覧
(2009.6)
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保険に関する基礎用語
保険の内容を見る前に、保険に関する基礎用語を確認します。
- 保険金額 いくら保険をつける、の「いくら」にあたる言葉。保険の契約金額のこと。例えば、マンション建物に「1億円」の火災保険をつける。
- 保険価格 保険事故が生じることで、被保険者が損害を被る恐れのある最高評価額。現在の時価。
- 保険料 掛け金のこと。保険金と間違えることが多い。
- 料率 保険金額×料率=保険料である。
- 保険金 事故で保険適用となり受け取れる金額。
- 免責額 事故の際、事故の認定額から差し引かれる金額(エクセスともいう)。
☞参考
マンション夢設計>マンションの保険
(2013.12)
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補償内容について(損害保険・費用保険・賠償保険)
火災保険は、火災リスクだけでなく、下表のように、台風や雪などの自然災害による損害や、盗難や漏水といった日常生活リスクも幅広く補償してくれます。
また、マンション特有の事故に対応して、次のような保険があります。
<費用保険>
損害が発生すると建物の損害だけでなく、もろもろの費用も発生します。その費用を補償してくれるのが費用保険金です。
費用保険の中で注目したいのが「
水濡れ原因調査費用」です。水濡れ事故が生じた場合には、保険金を支払ってもらうためにも原因の調査が必要になりますが、そのための調査費用が思いがけず高くなってしまう場合が多々あります。この費用保険は水濡れの原因が共用部分であっても、専有部分であっても対象となりますので、付けておくとよい費用保険でしょう。
<賠償保険>
「共用部分の手すりが壊れて来訪者がケガをしてしまった」などの事故があると、管理組合が賠償責任を負うことになります。このような、共用部分が原因で起こった事故に備えることができるのが
施設賠償責任保険です。
また、専有部分が原因で水漏れが起こり、階下に損害が生じてしまった場合や、子どもがマンションの壁を汚してしまった、など、日常生活の中で賠償責任を負った場合に補償してくれるのが
個人賠償責任保険です。
利用頻度の高い保険ですので、付けておくとよいでしょう。
☞参考
マンション夢設計>マンションの保険
(2013.12)
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共用部分を確認しよう(上塗り基準と壁芯基準)
共用部分とは、通常、エントランスホール、廊下等の「専有部分に属さない建物部分」、エレベーター設備、給水設備等の「専有部分に属さない建物の附属物」、管理事務室、集会室等で管理規約で「共用部分の範囲」としている部分ですが、
各々の
専有部分と共用部分の境目について、火災保険では重要になります。
国土交通省が作成した『マンション標準管理規約(単棟型)』によると、専有部分の範囲について「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」と定めています。つまり、専有部分と共用部分の境目は、壁、天井、床の内側とするということで、これはいわゆる「
上塗基準」と呼ばれるものです。現在は多くのマンションがこの標準管理規約を使っているので、ほとんどのマンションで該当するでしょう。
「上塗基準」の他に「
壁芯基準」を採用しているものもあります。管理規約で共用部分と専有部分を確認しておきましょう。(上塗り基準の場合は共用部分が減りますので、保険料は安くなりますが専有部としての問題が残ります)
火災保険で壁芯基準を使わない理由
仮に壁芯基準で共用部に火災保険を掛けようとした場合、隣の部屋との境は互いに壁の中心であり、中心までが互いに保険の対象範囲になる。・・・とすると共用部分であるべき壁がなくなってしまうことになります。 従って、通常上塗り基準を使っています。
☞参考
マンション夢設計>マンションの保険
暮らしのフォーシーズン>マンションにかける保険
Allabout>火災保険の選び方(分譲マンション)
(2013.12)
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保険金額について(評価額・付保割合)
保険金額とは保険を「いくら」つけるかということです。
マンション管理組合の場合はマンション共用部だけに火災保険をかけます。万一の罹災の際に十分な補償を受けるためには正しい保険金額で契約することが肝心となります。
建物の評価方法
評価方法には、
時価ベースと
再調達価格ベースの二つがありますが、マンションでは再調達価格ベースで、以下のように算出します。
保険金額=建築費単価×延床面積(建物全体)×共用部分の割合×付保割合
「共用部分の割合」は、保険会社・マンションの規模・構造・立地によって違いがありますが、 50%~70%の間で設定します。(60%が一般的です。)
※
建物の専有部分と共用部分の延べ床面積を比べた場合、専有部分の方が広いのが一般的であるにも関わらず、共用部分割合が60%となるのは、床面積で考えるのではなく建物の建築費の割合だからです。
尚、壁芯基準のマンションの場合は共用部分の割合が少なくなります。
※専有部分について、上塗基準では消費税から逆算した建物(共用部分と専有部分の合計)の金額の約40% 壁芯(真)基準では消費税から逆算した建物(共用部分と専有部分の合計)の金額の約60%が目安といわれています。(
㈱ビックトゥモロー>マンションの保険金額の決め方より)
付保割合
保険料の軽減のために再調達価額の30%~60%程度で設定します。付保割合を低くすれば保険料が下がりますが、保険料は割高になります。
☞参考
マンション夢設計>マンションの保険
マンション管理士吉田総合事務所>マンションの損害保険
(2013.12)
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